Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://stayinus.blog21.fc2.com/tb.php/83-aaee1345

-件のトラックバック

-件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

春に想う 12話 - 22歳の春(6)

Kと音信不通になってから、
昼間のバイト先で口論を起こして喫茶Tブレイクをやめた。
昼間、何もすることがなくなって、困ったことが起きた。
それは、俺の愛車の置き場所である。

京都市内は、車の置き場もないくらい来るまであふれかえっている。
俺が当時住んでいたアパートに引っ越してきたとき、近所の駐車場をくまなく
探して歩いたが、どこも顧客で一杯で、駐車スペースは全くなかった。
それ以来、阪急電車の線路沿いに路上駐車することになったのだが、
ここに車を停める限り、駐車禁止違反から逃れることが出来なかった。

休みの日は必ず、朝10時まで車を見に行かねば、必ずといっていいほど、
ドアミラーに黄色い駐車禁止の札をつけられるのだ。
京都に来てからまだ半年足らずだが、来て一ヶ月で最初の洗礼を受けた。
だから、昼間の家にいるようになっても、おちおち寝ていられなかった。
寝過ごした日など、来ている服もそのままで
1階まで駆け下りていくこともしばしばあった。
白いチョークでタイヤに線が引かれ、時刻が記入されているのを見たときには、
心から、『間に合った』、と叫ぶのであった。

これがきっかけで、俺はまた、昼間の仕事を探し始めた。
今度は、先斗町にあるコーヒーの老舗でTコーヒーでウェイターをすることになった。
先斗町は、京都でも御茶屋で有名だ。
この鴨川に接した数百メートルの裏路地には十数件の御茶屋がひしめいてる。
ここで、ウェイターになった俺は、毎朝、お茶のお母さん(お茶屋の経営者)から
ひっきりなしにかかるコーヒーの出前の注文を配達しに一日何往復も歩いた。
コーヒーを小さいポットに注文された人数分の量だけ入れて、
湯銭してあたためたコーヒーカップと一緒に、
小さな丸いトレイにのせて、配達するのがこの店の恒例だった。
お茶屋に着くと、『Tコーヒーです』と、玄関をたたいて入り、
『どうぞおあがり』と言われて、
靴を脱いで、いつもきれいに磨かれた板の間に上がり、
お母さんがいる奥の間まで持ってあがるのだ。
俺は、お茶屋になど出入りできる身分ではなかったので、
これは、実際の御茶屋の中を見ることが出来た貴重な経験になった。
障子かふすまで仕切られた畳の部屋は、
完璧なまで日本の伝統文化を主張していた。
私服姿の舞妓や芸子に身近に接して、声をかけてもらったこともしばしばあった。
注文を配達して御茶屋を立ち去るときは、『おきばりやす』、と優しく声をかけてくれた。

俺は、こういう御茶屋の雰囲気や、徹底された言葉遣いを見たり聴いたりしながら、
舞妓と言えども、朝から、歌に踊り、三味を特訓される姿に触れるときに、
強く、プロフェッショナルとしての彼らのプライドを感じた。プロ意識だ。
最近は、京都と言えども舞妓のなり手がいなくて、
地方から中学を卒業したばかりの娘たちが舞妓になりに御茶屋にやってくる。
京都の独特のはんなりとした言い回しなど、もとよりしゃべるはずもないのに、
自然な身のこなしに沿って話し方も変わっていくのだ。

しかし、踊りが出来ても歌が出来ない舞妓が名を取れないのと同じで、
1つのことを極めるだけでは不十分なのだ。
しかし、歌も踊りも三味も弾けても、トップにはなれるとは限らない。
どうすればいいのだろう、と考えたとき、
歌も踊りも三味も誰より上手であればいいのだ、と思いついた。
誰にもまねできないような物であればいいのだ、と。
技術は訓練によって誰でもある程度習得できる。つまり金で買えるのだ。
しかし、その人が持つ個性は、
つまり、その人の人生の奥行きと幅と広さからうまれるその人の『個』は、
誰にもまねできないものなのである。
それを競わないければならない。それを引き立たせるのが技術に過ぎない、と。

人生もそれと同じだと、想った。
人間には幅と奥行きと深さが必要だが、
群集より抜け出るためには、自分にしかできないことを極めることが重要なのだ、と。

人は、所詮、他人が自分の人生を決める世の中でしか生きることしかできない。
いくら命を削って働いても、一枚の辞令で飛ばされ足りする。
自分の評価は他人が決めるのだ。
浅く広く教養を身につけて、自分の得意分野を徹底的に伸ばしても、
人から疎遠されれば、宝の持ち腐れである。
自分の持つ『個』が周囲の人や物をを自分にひきつけるような強烈で、
心地よいしなやかな『個』でないと、
自分の才能をフルに生かすことが出来ないのかもしれない、と。

俺は、毎日人の食べることの給仕をし、人が食べた皿を洗いながら、そう思った。
自分にしか出来ないこと、自分にしかできない物を探すことが出来ないのか?
皿を洗うことが自分にしかできないことなどしたら、悲しすぎる。

確立された技術に裏打ちされたプロ意識がと豊かな人間としての個性が大切なのだ。

想うだけではだめで、実行しなければならないと想った。
中途半端はいけないのだ、と想った。

Kと音信不通になったこともあって、
このままでいいのだろうか?と、俺は想い始めた。
スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://stayinus.blog21.fc2.com/tb.php/83-aaee1345

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

simple digital clock


X-DAY

Flashカレンダー

ブログ内検索

プロフィール

露と落ち 露と消えにし
わが身かな
浪速のことも 夢のまた夢
豊臣秀吉
人生なんて、そんなものかもね

stayus

Author:stayus
【ブログランキング参加中】


にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ

FC2 Blog アメリカ・カナダ・ハワイ ランキング

アフィリエート・広告

edita.jp【エディタ】

Google PageRank

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。